彼を苦しめたいわけではなかった。
「海外で働く」という彼の夢を応援したいと
心から思っていた。
邪魔する気なんてさらさらなかった.。
だけど、
仕事で得られていた達成感がなくなって
何の役にも立てない自分に価値を感じられなかった。
欲しいものを自分で選んで買えない事が苦しかった。
異国の小さな町の小さな部屋の中が
私の全てになっているようだった。
誰かに理解して欲しくて、同情して欲しかった。
あなたは頑張っていると認めて欲しかった。
承認欲求と自己憐憫に塗れた私は
そんな自分を更に嫌いになった。
そして私は自分の矛盾に気付く。
この生活は、自由な私が選んだ事だったと。
覚悟なんてこれっぽっちもなく、
その責任を夫になすりつけた。
その事実に気付いたとき、私は急に冷静になった。
私は誰の人生を生きているんだろう。
このまま、彼を理由にして可哀想なふりをして生きていくのだろうか。
ここでの生活が始まって半年経った今でも、
窮屈さや不自由さを克服する方法を見つけたのではない。
相変わらず、「養ってもらっている」という事実は変わらない。
だけど、今はこの不完全さを受け入れて
生きていきたいと思える。
人生はいつも、理想通りの100点満点ではない。
0点の日も、40点の日も、70点の日も
全部含めて私の人生だ。
窮屈で不自由な人生も面白い。
私が舵をとって歩んでいくしかないのだ。
Naru.
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